国籍法改正後の某銀河ドラマ的未来 [その他]
アースシー恒星系暦2025年。経済大国としてアースシー恒星系に名を轟かせた惑星ソルの物語です。
チェン: リー閣下。このたびの御当選おめでとうございます。早速タイタニア星の大統領から祝電が届いております。それから、祖国のセントーリ星からも。
リー: うむ。タイタニアの大統領には丁重に礼を返しておけ。この選挙で上院・下院ともセントーリの議員が過半数を占めた。もうソルの傀儡議員どもは不要だ。口を塞いでおけ。
チェン: それが閣下、やつらはすでによその星に高飛びしておりまして・・・
リー: とんだ売国奴どもだ。逃げ足の早さだけは一流だな。まあよい。2008年の真相を知っているソル人はもうほとんど生きておらぬからな。2008年・・・我らが長年仕込んでおいた仕掛けの引き金を引いた年だ。
チェン: あれから早いものでした。
リー: セントーリの歴史から見ればほんの一瞬だ。
チェン: ところで閣下。ソル人の扱いはいかがいたしましょうか。
リー: 今までと変わらん。やつらは働き者で金儲けのセンスがある。このソルがあるのは彼らの働きだ。しかも、羊のようにおとなしい。この期に及んでまだヘラヘラと笑っている、平和ボケだな。だが、ソル人は追い詰められると手が着けられなくなる。昔、大国ローレシアがソルと戦ったときに、ソルが勝つと思っていた者は誰もいなかった。またその後タイタニアが戦争を挑発したときも、タイタニアはソルがそこまでやるとは思ってもいなかった。手痛い一撃を食らったのだ。ソル人を刺激するのはよくない。政治や紛争から隔離して、たっぷり仕事を与えて、金を搾り取るのだ。そうすれば彼らは自然に減っていくのだよ。
チェン: 減るのですか?
リー: そうなのだ。何もしないと勝手に減ってくれるのだ。国とは人であることを忘れた愚かな奴らよ・・・
チェン: ところで最大野党のコーレリアの連中はいかがいたしましょうか。
リー: そうだ、コーレリア人の始末だ。奴らは2009年のコーレリア星経済破綻によって、大量にソル星に押し寄せてきた。我がセントーリの同胞も増員を送り込んだが、なかなか思うようにいかなかった。コーレリアには在ソルの同胞が60万人もいたからなあ。在ソルどもは一人で何人も認知してソル星籍を得たのだ。そこで、我らはコーレリアの秩序維持を理由としてセントーリ軍隊をコーレリアに派遣、コーレリア人の出星を抑えた。
チェン: 秩序維持ですか?借金まみれのコーレリアを狙う星などいたのですか?
リー: コーレリア星と二重惑星をなすジ・コーレリアだよ。
チェン: ジ・コーレリアのようなちっぽけな星が、いくら弱ってるといえコーレリアを狙うとは思えませんが。
リー: もちろんだ。だが大義名分があればなんでもいいのだ。そのときまでコーレリアはタイタニア軍が進駐していたが、彼らは経済的に少々困っていた。だからセントーリの提案を喜んでくれた。さらにな、星外への国民の逃亡を抑えてくれたということで、コーレリア星からも感謝されたのだよ。ワハハハ。それから、コーレリアからソルはほんの一足程度の距離だ。ソルでコーレリア人どもが暴動を起こしたときにすぐに出動して鎮圧できるようにしたのだ。
チェン: 素晴らしい策ですね。閣下。
リー: いや、これはセントーリの現総統、我が父君が考えたのだ。その後、数でコーレリア議員を上回ったセントーリ議員が「在ソル特権」を廃止した。これがやつらの力をさらに削いだ。その後もセントーリは続々とソルに人を送り込んだ。もうソルの入星管理局はセントーリ人が押さえていたのだ。それだけではない。司法、行政、警察、軍、あらゆるところに同胞を忍び込ませた。我が星は戸籍の無い人がありあまっているからのう。
チェン: それで閣下・・・
リー: おお、これからのことだな。コーレリア人および法人の財産をすべて没収した上で全員コーレリアに強制帰還だ。在ソルのコーレリア人も含めてな。コーレリア人は害しかなさぬから、ソルに存在すべきではないのだ。コーレリアで働いて星の借金を返済させる。これでまたコーレリアに礼をいわれるな。
チェン: わかりました。閣下。もう一つ気になることが・・・わがセントーリ議員の支援基盤にもなった「カルト集団」ですが、このごろ妙な動きをしております。
リー: カルト集団は不気味だ。すべて捉えて粛清せよ。適当にテロをでっちあげてな。審議中の国会議事堂に毒ガスを撒くのがよいか。なぜかその場にセントーリの議員は一人もいないわけなのだが。
チェン: 閣下、あの集団にはセントーリの同胞も多数おりますが・・・
リー: チェン君。昔我が星のドクター・モーが革命を起こしたときに処刑した同胞は何人だ?
チェン: 6000万人ほどかと・・
リー: ピース・ゲートで我らが殺した同胞はどんな人間だったかな?
チェン: わが星の将来をリードするはずの超エリートでしたか。
リー: 我らは殺すときには人種も人数も念頭にはない。わかったか。
チェン: はい。閣下。
リー: それからコーレリアの支援団体、我が星の支援団体のうち妖しいもの、その他よくわからぬ団体はすべてドサクサに紛れて逮捕しろ。いずれ粛清だ。
チェン: 了解しました。今すぐそのようにします!
リー: さて、これで私もいずれはソルの総理大臣になる。そのとき狙うのは・・・
リーは窓の外の星空、軍事超大国のタイタニア星を睨んでおりました。
この物語に登場する人物・団体・設定などはすべてフィクションであり、実在する人物・団体・設定とは何の関係もございません。納得してください。
チェン: リー閣下。このたびの御当選おめでとうございます。早速タイタニア星の大統領から祝電が届いております。それから、祖国のセントーリ星からも。
リー: うむ。タイタニアの大統領には丁重に礼を返しておけ。この選挙で上院・下院ともセントーリの議員が過半数を占めた。もうソルの傀儡議員どもは不要だ。口を塞いでおけ。
チェン: それが閣下、やつらはすでによその星に高飛びしておりまして・・・
リー: とんだ売国奴どもだ。逃げ足の早さだけは一流だな。まあよい。2008年の真相を知っているソル人はもうほとんど生きておらぬからな。2008年・・・我らが長年仕込んでおいた仕掛けの引き金を引いた年だ。
チェン: あれから早いものでした。
リー: セントーリの歴史から見ればほんの一瞬だ。
チェン: ところで閣下。ソル人の扱いはいかがいたしましょうか。
リー: 今までと変わらん。やつらは働き者で金儲けのセンスがある。このソルがあるのは彼らの働きだ。しかも、羊のようにおとなしい。この期に及んでまだヘラヘラと笑っている、平和ボケだな。だが、ソル人は追い詰められると手が着けられなくなる。昔、大国ローレシアがソルと戦ったときに、ソルが勝つと思っていた者は誰もいなかった。またその後タイタニアが戦争を挑発したときも、タイタニアはソルがそこまでやるとは思ってもいなかった。手痛い一撃を食らったのだ。ソル人を刺激するのはよくない。政治や紛争から隔離して、たっぷり仕事を与えて、金を搾り取るのだ。そうすれば彼らは自然に減っていくのだよ。
チェン: 減るのですか?
リー: そうなのだ。何もしないと勝手に減ってくれるのだ。国とは人であることを忘れた愚かな奴らよ・・・
チェン: ところで最大野党のコーレリアの連中はいかがいたしましょうか。
リー: そうだ、コーレリア人の始末だ。奴らは2009年のコーレリア星経済破綻によって、大量にソル星に押し寄せてきた。我がセントーリの同胞も増員を送り込んだが、なかなか思うようにいかなかった。コーレリアには在ソルの同胞が60万人もいたからなあ。在ソルどもは一人で何人も認知してソル星籍を得たのだ。そこで、我らはコーレリアの秩序維持を理由としてセントーリ軍隊をコーレリアに派遣、コーレリア人の出星を抑えた。
チェン: 秩序維持ですか?借金まみれのコーレリアを狙う星などいたのですか?
リー: コーレリア星と二重惑星をなすジ・コーレリアだよ。
チェン: ジ・コーレリアのようなちっぽけな星が、いくら弱ってるといえコーレリアを狙うとは思えませんが。
リー: もちろんだ。だが大義名分があればなんでもいいのだ。そのときまでコーレリアはタイタニア軍が進駐していたが、彼らは経済的に少々困っていた。だからセントーリの提案を喜んでくれた。さらにな、星外への国民の逃亡を抑えてくれたということで、コーレリア星からも感謝されたのだよ。ワハハハ。それから、コーレリアからソルはほんの一足程度の距離だ。ソルでコーレリア人どもが暴動を起こしたときにすぐに出動して鎮圧できるようにしたのだ。
チェン: 素晴らしい策ですね。閣下。
リー: いや、これはセントーリの現総統、我が父君が考えたのだ。その後、数でコーレリア議員を上回ったセントーリ議員が「在ソル特権」を廃止した。これがやつらの力をさらに削いだ。その後もセントーリは続々とソルに人を送り込んだ。もうソルの入星管理局はセントーリ人が押さえていたのだ。それだけではない。司法、行政、警察、軍、あらゆるところに同胞を忍び込ませた。我が星は戸籍の無い人がありあまっているからのう。
チェン: それで閣下・・・
リー: おお、これからのことだな。コーレリア人および法人の財産をすべて没収した上で全員コーレリアに強制帰還だ。在ソルのコーレリア人も含めてな。コーレリア人は害しかなさぬから、ソルに存在すべきではないのだ。コーレリアで働いて星の借金を返済させる。これでまたコーレリアに礼をいわれるな。
チェン: わかりました。閣下。もう一つ気になることが・・・わがセントーリ議員の支援基盤にもなった「カルト集団」ですが、このごろ妙な動きをしております。
リー: カルト集団は不気味だ。すべて捉えて粛清せよ。適当にテロをでっちあげてな。審議中の国会議事堂に毒ガスを撒くのがよいか。なぜかその場にセントーリの議員は一人もいないわけなのだが。
チェン: 閣下、あの集団にはセントーリの同胞も多数おりますが・・・
リー: チェン君。昔我が星のドクター・モーが革命を起こしたときに処刑した同胞は何人だ?
チェン: 6000万人ほどかと・・
リー: ピース・ゲートで我らが殺した同胞はどんな人間だったかな?
チェン: わが星の将来をリードするはずの超エリートでしたか。
リー: 我らは殺すときには人種も人数も念頭にはない。わかったか。
チェン: はい。閣下。
リー: それからコーレリアの支援団体、我が星の支援団体のうち妖しいもの、その他よくわからぬ団体はすべてドサクサに紛れて逮捕しろ。いずれ粛清だ。
チェン: 了解しました。今すぐそのようにします!
リー: さて、これで私もいずれはソルの総理大臣になる。そのとき狙うのは・・・
リーは窓の外の星空、軍事超大国のタイタニア星を睨んでおりました。
この物語に登場する人物・団体・設定などはすべてフィクションであり、実在する人物・団体・設定とは何の関係もございません。納得してください。
チェン(独白)
やれやれ…
今後は、真の愛ソル者である同胞が亡命先に移した資金で活動を開始する。
在ソル特権も廃止してくれたし、全コーレリア人の強制帰還も実現される。
カルト集団も怪しげな団体も一掃される。万々歳だ。
我々の思惑通りの指示を出してくれている。
やはり、セントーリの現総統ほどには頭が回らないようだな。
所詮は、お坊ちゃまだな。
ソルの国民は、これからも無分別な怒りの行動を抑制し、平和ボケを装い続けるだろう。
その日が来るまで、我々は静かに備えて待たねばならない。
まあ、ソル魂があるのだから十分それは可能だろう。
ソルのソルによるソルのための政治。
ソルの真の独立のために、セントーリが利用出来て幸いだった。
あとは、リー閣下がタイタニア星に食指が動くように仕向けて…
いやいや、急いてはコトを仕損じる。
冷静に… な。(苦笑)
by 元気 (2008-12-07 14:34)
コメントとniceありがとうございます。
この物語の続編はいずれ状況を見ながら書いてみたいと思います。
ソル人、というかソルの魂を受け継いだ者たちから英雄が出てくるといいな。
by トスカ (2008-12-07 14:40)