「月の光」を歌わせてみる [音楽]
雨の日が多くなってまいりましたが、みなさまいかがお過ごしでしょうか。トスカです。かなり回復しました。
相変わらず初音ミクで遊んでいますが、今回はフォーレの代表作、ヴェルレーヌの詩による「月の光」を歌ってみましょう。まずは曲の雰囲気をつかみます。一人語りは寂しいのでシューマンのフロレスタンとオイゼビウスのようにダイアログでいきます。
ミク: 次は私この曲を歌うの?ん~~、確かにピアノはすごくきれいだけど、歌はとんでもないところで始まるし、なんか添付品みたいでぱっとしない感じ・・・
トスカ: まあまあ、この曲は詩も音楽もかなり含みがあるから、それを見ていこう。というわけで翻訳をぐぐってみよう。
ミク:・・・
トスカ: ・・・
ミク: なんかみんな全然違うこと言ってますよ?
トスカ: これだけ解釈の違う詩も珍しいね。ってことは私も勝手な訳を捏造してよいのだ。さっそく訳してみた。
トスカ: やれやれ。フランス語、難しいよ。
ミク: マラルメでなくてヴェルレーヌでよかったね。
トスカ: それでは一段目から。この詩は「艶やかな宴」という詩集の中の最初の詩だ。なので「風景画」とはその宴の様を言っているのだろうね。ベルガマスクは辞書を見ると「ベルガモ風」とか「ベルガモの踊り」とかになる。しかし「宮廷風」とか、いろんな意味を持っているようだからそのまま残した。「マスク」との語感もいいしね。
ミク: そういえばドビュッシーにも「ベルガマスク組曲」というのがありますね。たしか三曲目が有名な「月の光」・・・
トスカ: そうそう。明らかにこの詩の影響を受けている。ドビュッシーはこの詩で歌曲も二度作っている。とにかくこの詩は当時のフランスの音楽家に強力なインスピレーションを与えているようだ。一段目はさまざまな仮装をして雅やかな宴会を楽しんでいる風景、だけどみなどこか寂しげなんだ。美しいピアノの伴奏は宴会のBGMだ。でも決して派手な演奏になってはいけない。そして歌は宴を演じている人たちの心です。
ミク: なんだか昔の人も病んでいますね。1869年(明治二年)ベルレーヌ25歳のとき出版。
トスカ: その傾向は二段目でますます明確になっている。成功した恋や人生の自慢をだね、わざわざ短調で歌うんだ。
ミク: ここは「短調」でいいの?「悲しそうに」とか、堀口大學にいたっては「鼻歌」なんて訳しているけど。
トスカ: 'le mode mineur' は直感的に短調だと思った。でも面白い話があって、これは受け売りだけどね。フォーレは'mode mineur' のところで歌のメロディーをわざわざ同主調に転調させているんだよ。大胆にも。
ミク: あ、確かにこの部分だけ長調になってる!
トスカ: ヴェルレーヌは誇らしい歌をわざと短調で歌わせて、あげくに自分が幸せなのかわからない、としている。フォーレはそれをもう一回ひねって長調で歌わせている。ヴェルレーヌよりさらに一つ外側の世界から宴の様子と人の心を観察しているんだよね。これっていわゆるエスプリというやつかね。
ミク: ぐるっとまわって一回転♪ 大大大嫌いってちょっぴり好きなこと~♪
トスカ: 華やかな歌と踊り(ピアノによる)を背景として、人の心はどこか現実感が無いように感じている。一見投げやりのような歌のメロディーはそんなことを表しているんだね。でも、完全に浮世から離れているわけではなくて、ところどころ絶妙な感じで歌とピアノが合うところがあるよね。
ミク: さっきの 'mode mineur' のところや 'la vie' のところとか。
トスカ: そして最後に月の光を登場させて強引な引きで第三段に移ります。ここで、ようやくピアノは裏方に回って歌の美しい旋律が主役になる。頼むからここは綺麗に歌ってくれよ? 多くの芸術家が幻想の象徴として扱ってきた月の光こそがこの詩のなかでは揺るぎのない現実として描かれている。
ミク: 私そんな難しいことわかんないよ。全部まかせるからうまく歌わせてね。
トスカ: (おまえさんをまともに歌わせるのにどれだけの苦労が、と小一時間・・・)それでは早速歌ってみようか。
ミク: レッスンレッスン♪
懐かしいパターンが出たところで次回に続く。
相変わらず初音ミクで遊んでいますが、今回はフォーレの代表作、ヴェルレーヌの詩による「月の光」を歌ってみましょう。まずは曲の雰囲気をつかみます。一人語りは寂しいのでシューマンのフロレスタンとオイゼビウスのようにダイアログでいきます。
ミク: 次は私この曲を歌うの?ん~~、確かにピアノはすごくきれいだけど、歌はとんでもないところで始まるし、なんか添付品みたいでぱっとしない感じ・・・
トスカ: まあまあ、この曲は詩も音楽もかなり含みがあるから、それを見ていこう。というわけで翻訳をぐぐってみよう。
ミク:・・・
トスカ: ・・・
ミク: なんかみんな全然違うこと言ってますよ?
トスカ: これだけ解釈の違う詩も珍しいね。ってことは私も勝手な訳を捏造してよいのだ。さっそく訳してみた。
月の光
あなたの心は選りすぐりの風景画
マスクとベルガマスクの魅了する
リュートを弾き踊りながらも
奇抜な仮装の下に悲しみを湛える
誇らしい恋話、おあつらえの人生を
短調の調べで歌いながら
おのが幸福を信じかねているげに
やがて歌は月の光に溶けていく
悲しくも美しい月の光の静けさは
木々の鳥を夢にいざない
噴水をうっとりとすすり泣きに
大理石の間からたおやかに立ちあげる
トスカ: やれやれ。フランス語、難しいよ。
ミク: マラルメでなくてヴェルレーヌでよかったね。
トスカ: それでは一段目から。この詩は「艶やかな宴」という詩集の中の最初の詩だ。なので「風景画」とはその宴の様を言っているのだろうね。ベルガマスクは辞書を見ると「ベルガモ風」とか「ベルガモの踊り」とかになる。しかし「宮廷風」とか、いろんな意味を持っているようだからそのまま残した。「マスク」との語感もいいしね。
ミク: そういえばドビュッシーにも「ベルガマスク組曲」というのがありますね。たしか三曲目が有名な「月の光」・・・
トスカ: そうそう。明らかにこの詩の影響を受けている。ドビュッシーはこの詩で歌曲も二度作っている。とにかくこの詩は当時のフランスの音楽家に強力なインスピレーションを与えているようだ。一段目はさまざまな仮装をして雅やかな宴会を楽しんでいる風景、だけどみなどこか寂しげなんだ。美しいピアノの伴奏は宴会のBGMだ。でも決して派手な演奏になってはいけない。そして歌は宴を演じている人たちの心です。
ミク: なんだか昔の人も病んでいますね。1869年(明治二年)ベルレーヌ25歳のとき出版。
トスカ: その傾向は二段目でますます明確になっている。成功した恋や人生の自慢をだね、わざわざ短調で歌うんだ。
ミク: ここは「短調」でいいの?「悲しそうに」とか、堀口大學にいたっては「鼻歌」なんて訳しているけど。
トスカ: 'le mode mineur' は直感的に短調だと思った。でも面白い話があって、これは受け売りだけどね。フォーレは'mode mineur' のところで歌のメロディーをわざわざ同主調に転調させているんだよ。大胆にも。
ミク: あ、確かにこの部分だけ長調になってる!
トスカ: ヴェルレーヌは誇らしい歌をわざと短調で歌わせて、あげくに自分が幸せなのかわからない、としている。フォーレはそれをもう一回ひねって長調で歌わせている。ヴェルレーヌよりさらに一つ外側の世界から宴の様子と人の心を観察しているんだよね。これっていわゆるエスプリというやつかね。
ミク: ぐるっとまわって一回転♪ 大大大嫌いってちょっぴり好きなこと~♪
トスカ: 華やかな歌と踊り(ピアノによる)を背景として、人の心はどこか現実感が無いように感じている。一見投げやりのような歌のメロディーはそんなことを表しているんだね。でも、完全に浮世から離れているわけではなくて、ところどころ絶妙な感じで歌とピアノが合うところがあるよね。
ミク: さっきの 'mode mineur' のところや 'la vie' のところとか。
トスカ: そして最後に月の光を登場させて強引な引きで第三段に移ります。ここで、ようやくピアノは裏方に回って歌の美しい旋律が主役になる。頼むからここは綺麗に歌ってくれよ? 多くの芸術家が幻想の象徴として扱ってきた月の光こそがこの詩のなかでは揺るぎのない現実として描かれている。
ミク: 私そんな難しいことわかんないよ。全部まかせるからうまく歌わせてね。
トスカ: (おまえさんをまともに歌わせるのにどれだけの苦労が、と小一時間・・・)それでは早速歌ってみようか。
ミク: レッスンレッスン♪
懐かしいパターンが出たところで次回に続く。
どんなに仕上がったんだろーと期待したのに。。。。
次回だって。。。。。。。。。。。。。。っちぇっっっっ。。。。
フランス語の訳詩、すごいですね。。みどにも作って♡
オススメのフランス歌曲で♪
by みど (2008-06-07 02:27)
完成楽しみにしています。
ぜひ「マンドリン」もお願いいたします。
「ネル」も「イヴの歌」も。
by alma (2008-06-07 09:26)
みどさん、niceとコメントありがとうございます。
お待たせしてすみません。実はもうほとんど終わっていますので、近日公開します。
フランス語の歌曲ってあまり広く知っているわけではないですけど、みどさんの声質とかキャラ立ち(意味不明ということにしておこう)からするとフォーレの「歌を教える妖精」とかよいかなと思いました。
by トスカ (2008-06-07 13:19)
ミク~、楽しみにしているよ~!
ベルガマスク・・・というと私はどうしてもレスピーギの「リュートのための古風な舞曲とアリア」を思い出してしまいます。
by Cecilia (2008-06-07 13:25)
almaさん、niceとコメントありがとうございます。
「マンドリン」もいいですね。Ceciliaさんが詳しく調査されています。
「ネル」も美しいメロディー、ただ子音が細かくごちゃごちゃと入っているのが難しいところ。「イヴの歌」・・・後期の曲に手を出すのはまだ先のことかと・・・生暖かい目で見てやってください。
by トスカ (2008-06-07 13:29)
Ceciliaさん、niceとコメントありがとうございます。
あまり期待されるとミクもドキドキします。
レスピーギの曲はノーチェックでした。ちょっと調べてみます。
by トスカ (2008-06-07 13:37)
でも全然似ていませんよ。
by Cecilia (2008-06-07 13:47)
あははははーーー♪
フランス歌曲、無知なのでご指導くださいな♡この曲も知らない。あは。。
by みど (2008-06-08 07:29)